●ストーリー&テーマ

気まぐれなオーナーのせいで経営が思わしくないホテル。1週間後にはここでの一人娘の結婚式も控え、このホテルに愛情と思い入れがたっぷりな支配人は、何とか経営を立て直そうと、開業40周年を記念した起死回生のPRイベントを思い立つ。

『ドミノ倒し ギネス挑戦中!』
376,414個という個人世界記録の更新をかけての対戦方式! 挑戦するのは「職人」と呼ばれる腕を持つドミナー(ドミノ倒しをする人のこと)と、彗星のごとく現れた「カリスマ」ドミナー。

以前、職人の弟子だった過去を持つカリスマは、この勝負に、個人的な想いを込めたカケを持ちかける。それを鼻であしらう職人。無事に対決を終えたい支配人は、二人の不穏な空気を察知して取り成しに必死。
そこに職人の妻が離婚届を持って乱入してくるわ、二人の対決を賭けて設けようとする男が出てくるわ、状況を読まずにオーナーは言いたい放題だわ…。

絶対的な静けさと緊張感が要求されるはずのドミノ会場が、自分の事情で騒ぎを起こす人たちのせいで、どんどんエキサイト…。
少しづつボタンを掛け違えてしまった人たちが集まった会場で、それぞれの想いは爆発するしかないのか、生きるエネルギーにはならないのか…。

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◆いたるところに対立。そして対立が!
今回の物語は、経営の傾いたホテルが舞台です。自分の人生の思い出が詰まっていて、一人娘の結婚もこのホテルを予定している支配人。
そして、このホテルの経営には情熱を失ってしまっている女性オーナーと支配人との小さな対立に始まって、若いつばめを意のままにしたい女性オーナーと支配人の娘に恋をするつばめの対立、職人ドミナーとカリスマドミナーは職人の妻をめぐっての対立、その昔堅気の職人ドミナーは離婚したい妻と対立、カリスマドミナーはストーカーちっくなアシスタントと対立、職人ドミナーはホモ司会者と対立、などなど。
そして何よりも、緊張感が必要とされるドミノ会場と登場人物たちの騒々しさとの対立。

◆マンガちっくで笑えるやつら
誰もが持っている欲望を少しだけカリカチュアされた登場人物は、マンガちっくで笑える存在でありながら、なぜか心の片隅を触っていきます。それは多分…人は生きているだけで他人を傷つける生き物で、この物語の登場人物は、日常生活でバランスを取る僕たちよりも少しだけ自分に正直なだけで…。ありえない物語とはいえ、人が人と向き合って生きることの一段面を見せてくれているからではないかと思うのです。
感情の摩擦。
日常でどんどん少なくなってきている、この摩擦が生むエネルギーこそ一番お客様に届けたいものです。その馬鹿馬鹿しさ=おかしさ、うまく噛み合わない=せつなさを。

◆笑ってたのに、いつの間にか涙?
シットコム=シチュエーションコメディと言う限りは「笑える」ことが最重要項目です。でもそれだけじゃ、なんだかモノ足りない。“人の切なさ”を描き続けてきた丸尾拓のこだわりで、ココロのどこかを引っ掻くような、痛みを覚えるセリフ・言葉があちらこちらに。

お客様に「笑っていたのに、いつの間にか涙がこぼれてた」と言わせた劇団G:フォレスタ風シットコムを、どうぞお楽しみください!

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●ミニ知識
ドミノ倒しの国際ルール
 1)すべての駒は挑戦者本人がたてていかなければならない。
 2)スタートのひと駒以外には絶対に触れてはいけない。
 3)数は立てる前に正確に数えなければならない。

1978年6月9日にアメリカのボブ・スベッカがニューヨークで97,501個の記録を出した。これが最初のドミノ倒しギネス公認記録。

現在の世界記録は2002年11月15日、オランダ「Domino Day 2002」で記録された3,847,295個。
2003年11月、オランダ「Domino Day 2003」で世界新記録が生まれる予定。

しかしドミノ倒し個人記録は、1984年10月3日に23才の日本人学生が記録した376,414個から20年も更新されていない。