10/12の稽古場
〜満ちたるは歌舞伎の香り の巻〜
reporter 吉川 慶三

本日の稽古場日誌は“影の演出”と皮肉たっぷりのあだ名が結構似合っている吉川がお送りします。
G:フォレさんの稽古場にやってきたのは初めてですが、まさかいつも楽しみにしている「あの」稽古場日誌を書くことになろうとは!

今日は本番の衣装を発表する日。演出・丸尾氏から手渡される衣装のラフスケッチは、華麗なドミノワールドを演出するために新たに描き下ろされた衣装イメージだ。
ラフスケッチ原画は色鉛筆で色鮮やかに彩色され、配色にはきめ細かい指示がなされている。が、配布された衣装スケッチはただのモノクロコピーで、結局配色に戸惑うことになる役者勢であった。

稽古が始まると丸尾氏は一転して厳しい表情に変わる。上がったばかりのシーンに対してもダメは容赦しないようだ。
丸尾氏のダメ出しの嵐にありながら職人ドミナー役・田中氏は、同じシーンのなかで様々なバリエーションを披露する。
変則的なパターンを試すなかで、いつのまにか歌舞伎役者を思わせる演出を編み出したようだ…! これがまた面白い!
平太鼓や摺鉦の音さえくれたら、きっと立派な演目を披露してくれるに違いない―――それに、彼のしかめっ面が似合うことはいわずもがなであろう。否、本番を迎える頃には全く別物の表現に変化しているかもしれない。
こんなふうに役者が常に演じ方を試行錯誤するかぎり、本番を何度観たって観客が飽きたりしないと思う。

栄養ドリンクに頼る役者には本当の自然体を表現できないよ、と問題の栄養ドリンクをあおって熱く語るのは丸尾氏。
んー、さすがにお疲れの様子です。。。こんな雰囲気でスタッフも役者とも、本番に向けて調子を上げているみたいです。
脚本の丸尾氏さえまだまだ先が読めないねと語る、賑やかな稽古場から吉川がお伝えしました。

↑「修ちゃんのセリフはまだ固いなぁ…いや、体が硬いのかな」鬼才・丸尾氏の理不尽なダメだしに戸惑いの色をかくせない山崎。


↑新人でいきなりHEPの大舞台に挑む木村(左)・喬木(右)コンビ。喬木はいいとして、木村は週末の稽古のため泊まり込んでいるそうだが迷惑はかけていないだろうか?


↑稽古の進行を止め、五目おにぎりに舌鼓を打つ丸尾氏。その素朴な味わいに確かな手ごたえを感じているに違いない。