●ストーリー&テーマ

ある朝、北原あさこは妊娠に気付く。複数の男たちと付き合ってきたあさこには、お腹の子どもが誰の子かわからない。厳格な祖母に育てられた反動で‘奔放’になってしまったあさこには、一方でまじめなところがあり、堕胎することができない。
そんなある日、‘絶対的権力者’の祖母が、見合いの話を持ってやってくる。言いなりになりたくないあさこは『自分で結婚相手を決める』ために、ルームメイトの吉村みさをの助けを借りて、お腹の子の父親候補を集めて相手を決めようとするが、当然のこと、男たちは言い逃れをするばかり。

見合い話をどんどん進める祖母。そんな祖母に反発しながらも、見合い相手に一目惚れしてしまうあさこ。父親候補の男たちは、祖母からあさこに渡された多額の結婚資金の話を立ち聞きした途端、態度を一転、「父親です!」と名乗り出る。

誰があさこを獲得するのか、お腹の子どもはどうなるのか、世界最大(?)の結婚争奪戦がここに勃発します!

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◆シチュエーション・コメディ 第3弾!
今回の公演は、第4回公演で大好評を博した『Go!〜世界最大の恋愛争奪戦〜』の女性版とも言うべき内容です。『Go!(男性版)』では、妊娠しているの女性3人が、突然「あなたの子どもです」と、同じ男に言いつのるところから始まる物語でした。
今回は、その逆。男にルーズで、父親のわからない子を妊娠してしまった女性が、複数の候補の中から、一人の男を選び出そうとする物語です。

◆知ってる誰かに似てる(^−^)
主人公は男にルーズ、という設定は、恋愛至上主義に陥りがちなイマの風潮をカリカチュアしたものです。自分の時間が未来へ繋がっていることをツイ忘れて、刹那な快楽主義で毎日を過ごしてしまう。思想を伴わない刹那は、多分に滑稽な状況を呼び起こします。

もちろん父親候補の男たちに父親になる覚悟などかけらもありません。半端な女と半端な男がどう繋がろうというのか…これこそお笑いぐさです。
が、ボクたちの日常を振り返ってみた時、登場人物に知っている誰かを重ね合わせている瞬間がたくさんあることでしょう。もしかしたら、自分自身にさえも…。

◆笑ってたのに、いつの間にか涙?
シットコムという限りは「笑える」ことが最重要項目です。でもそれだけじゃ、なんだか物足りない。“人の切なさ”を描き続けてきた劇作家・丸尾拓のこだわりで、ココロのどこかを引っ掻くようなセリフ・言葉があちらこちらに。

笑えて、そしてココロの裏側が潤ってくる、不思議なシットコムです。

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用語解説
<愛情>…
愛情は自由の申し子であって無理強いの落とし子ではありません。
   ドイツ出身・アメリカの社会心理学者

<結婚生活>…
結婚生活を長続きさせたかったら、妻は目を、夫は耳をふさぐことだ。
   ドイツの格言

<夫婦同性>…
結婚すると妻は夫の姓を名乗る。これは、戦勝者が会戦名を名乗るのと似ている。
   ハンガリー出身・オーストリアの劇評家

<愛>…
愛とは、寄り添うことから生まれる温もり。闇の世にあって、これこそ唯一の恩寵ではないか!
   ドイツの劇作家

<煩悩>…好きなんだから仕方ない!
   大阪の作・演出家