丸尾さんはとても真面目な方だ。コメディをつくっていてもハートヲーミングをしていても、その真面目さがほんとうによく出ていて微笑ましい。中途半端に逃げることがない。自分と自分の芝居をしっかり追い詰めていく。見ていて息苦しいこともある。単純に笑って泣かすだけでいいのに(もちろんそれだけでも充分に大変なことなのだが)そこにとどまらずに、だから何なのかを書こうとする。それは単純なテーマ主義ではない。彼は芝居作りを通して、見えてくるものを見極めようとする。あたりまえのことなのかも知れないが、その真摯な眼差しがとても心地よく、彼が提示しようとするものをいっしょになってみつめていくことが、G:フォレスタの芝居を観ることの何よりも楽しみになっている。
それは役者たちにもしっかり伝播している。彼らは決して上手い役者ではないが、いつも一生懸命だ。そして、丸尾さんの見せようとするものを自分たちの形にしようとしている。主人公たちだけでなく芝居に出てくるすべての人たちが、伝えようとするものを内にしっかり秘めている。不器用だがそれを見せようともがいている。そんな姿がとても心地よい。なかなかうまくいかず、もどかしい芝居も多い。だけれどもそれは駄目な芝居ではない。しっかり志を持った望ましい芝居だ。

劇評家 広瀬 泰弘
20年間に渡って休むことなく、幅広く関西小劇場シーンを
見守り続ける劇評家