8/23の稽古場
〜役者のしごと 演出家のしごと〜
reporter 池下 理都子

今回初めてこんな大役をいただいて、けっこう苦戦しています。稽古の度に自分の内面と正面から向き合わねばならず、これがまたへこみそうになる作業なのです。自分の中でイヤな発見がぼろぼろあるんですよー。ネガティブな気持ちにもなりますってー。そこをふんばるっ! という自分との戦いが日々続いているのです。

「丸尾さんてすごいなーすごいなーすごいなー」
もちろん役の大小にかかわらず役者のしごとというのは大変なものです。台本を読み、本に書かれていない部分(人物の背景や歴史、心情など)を読み取ること。作品全体を常に意識し、その中で自分の役はどういう役割を担っているのかを認識すること。周りの状況に気を配ってちゃんと人(相手)のセリフを聞いてつくっていくこと。心身のテンションを高く保っていくことetc. etc.…。苦労はみんな同じなのですが、凡人である私には常に意識をしてないと、ほけっと抜けてしまいがちなことばかりで大変です。

演出&照明さん。ほんとに縁の下の力持ちな存在です
そこで演出・丸尾氏の出番です。私のみならず、そういう迷える役者どもからいろんなものが抜け落ちていかないよう気を配り、へこませないようまたチョーシに乗らないよう個々に合わせて言葉の直球・変化球を使い分けたダメを出し、全体のバランスも見つつ作品を良い方向へ導いていく…。彼のその洞察力たるや、並々ならないものがあるのです。今日も稽古場で客演の山本氏がしきりに連発してました。
「丸尾さんてスゴイッすよねー。なんかこう…よう見てる、いうか、ズバッと当てますよねー。思ってるコトとかいろいろ。なんでわかるんや? とか、そうそう! とか思いますもん。うん、スゴイっす。」
なんだか「こんなに誉めちゃったら手前味噌ぢゃあないか」と思うのですが、これは私たち劇団員も感じていることで、ひそかに丸尾マジックと呼んでいるものの一つなのです(? ?)。

狭いところがお好き
演出と役者のとても微妙なコミュニケーションの中で一つの作品は仕上がってゆきます。皆様にこの作品をお届けするとき、きっといいものになっていますように…。そんな願いをこめてラストスパートです!