8/12の稽古場
〜エルビス・プレスリー特集〜
reporter 興津 奈穂子

この公演にエルビス・プレスリーがでてくる。今日の稽古場日誌は彼を特集したい。これは役名であって実名ではないが、本人の名誉のために実名はふせておこう。以下エルビスと呼ぶことにする。

エルビスはイイ男である。おジャ魔女どれみ役のわたしが自分のことを美少女と呼ぶのと同じくらいイイ男だ。

エルビスはギターが弾ける。が、チューニングができない。劇中でギターを弾くが、ギターのチューニングは人まかせである。彼は努力家かチャレンジャーのどちら かである。自分でチューニングしてみようとする。すると、音はチューニング前よりかなりずれている。口の悪い人は「しないほうがまし」というかもしれない。わたしは口が悪くないのでそんなことは言わないし、ましてや日誌で公表したりしない。もちろん心の中で思ったりもしない。

チューニングをしようとしている最中、エルビスはヒロイン・池下嬢にこうきいた。

「Cって何?」

それがドであると教える池下嬢。
つぎに彼はこうきいた。

「Aって何?」

それがラであると教える池下譲。
つぎに彼はこうきいた。

「ドって何?」

チューニングを(しようとし)続けるエルビス。最後の質問をして1分ほどたっただろうか。彼はこうきいた。

「Aって何?」

またあるとき、演出の丸尾氏にこう言われた。

「ギターを見ずに前を見て弾けるようになってほしい。」

エルビスは、すぐ実行に移した。弦をはじいてからその次に弦をはじくまでの一瞬、前を向き、またギターを見ることをくり返した。それは泳ぎの苦手な子供のク ロールの息継ぎのようだった。

確認を怠らず、努力を重ねるエルビス。これぞスーパースターと呼ぶにふさわしい。

以上、クラリネットを2年間やって最後までチューニングができなかった興津でした。


↑優しく微笑むエルヴィス






↑時にはだらしないエルヴィス






↑そして無邪気なエルヴィス